いぶすきーの映画ぶろぐ

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2011年04月24日

マクロスF 恋離飛翼〜サヨナラノツバサ〜



「マクロスF 恋離飛翼〜サヨナラノツバサ〜」 監督:河森正治

更新がだいぶ止まっていましたので、久しぶりに更新です。

2009年に前編『劇場版 マクロスF 虚空歌姫 〜イツワリノウタヒメ〜』が公開し、2011年に後編となる本作である『劇場版 マクロスF 恋離飛翼 〜サヨナラノツバサ〜』が公開されました。

物語は前編エンディングの3ヵ月後から始まり、新規作画のオリジナルストーリーでクライマックスへと突入しました。

上映から長らく経ちましたが、先日ようやく観に行くことができました。

場所は神戸のシネリーブルに彼女を連れて行きました。

女性にはどうかな…と思いましたが、意外と楽しんでいただけたようでよかったです(笑)

上映開始から日数が経過していましたが、半数近くの席がレイトショーにもかかわらず埋まっていました。

改めてマクロスシリーズの人気の高さがうかがえます。

カップルや若い女性組での観客も多く、深夜の大人向けアニメの中でも広く受け入れられていることを実感。

西暦2009年、巨人種族ゼントラーディとの間に勃発した第一次星間大戦において絶滅の危機に瀕した地球人類は、種の保存のため大規模な移民船団を作り、銀河系各方面へと旅立っていった。

50年後の西暦2059年、銀河系中心宙域を旅するマクロス・フロンティア船団において、マクロス・ギャラクシー船団の人気歌手シェリル・ノームのライブが行われた当日、巨大な昆虫型宇宙生物バジュラの群れが襲来し、人類対地球外生命体の新たな戦いが始まる。

その最中で、パイロットを目指す少年早乙女アルトと歌手を夢見る少女ランカ・リーはシェリルと巡り会う。

アルトは民間軍事企業S.M.Sに入隊してバジュラとの戦いに身を投じ、ランカはアイドルを目指して下積みの仕事に励む。

シェリルはギャラクシー船団からのスパイではないかと疑われ、3人の間には恋愛と疑いの感情が交錯します。

ここでメインヒロインであるシェリルにスパイ容疑がかかる辺り、TV版とは違った劇場版オリジナルのキャラクター設定が見受けられます。

個人的に、劇場版アニメ映画の醍醐味は、TVシリーズとの観客層と映画館での観客層との間に生じるであろう認識のギャップを、いかに制作側が捉え、最終的な落とし込みをしていくか、ということも見所の一つであると考えています。

マクロスシリーズは、元々1982年に『超時空要塞マクロス』が放送が原点。

以来、テレビアニメ3作、OVA5作、アニメ映画4作が作られています。

そこで、放送開始以来よりのファン層、次点でのプラス、セブン、ゼロなど、年代によってキャラクターデザインも映像表現もストーリー性も異なります。

特に、近年のアニメ事情からすれば、歌姫であるヒロイン2人に対するスポットに注視するあまり、本来保持していたSFとしての世界観やストーリーの魅力が薄れることが危惧されていました。

にもかかわらず、大満足の結果に終わったのは、やはり映像表現の素晴らしさ、音響演出の良さ、脚本の完成度ではないでしょうか。

劇場版のキャッチコピーが第1弾では「歌は魔法☆」、第2弾は「歌は祈命(いのち)」、第3弾は「歌は死なない。」とあるように、一貫して”歌”に対する訴求を貫いています。

素人オーディションの中より選ばれた中島愛は、アイドルを夢見るランカちゃん。

元々歌手志望であったMay'nは、歌手として不動の地位を確立しているシェリル。

どちらをとっても、声優・歌手を越えて、個人の背景にあるアイデンティティとしての相性が抜群に素晴らしい。

劇中では、戦闘・歌・恋愛・謀略といった要素が目まぐるしく展開する中で、それぞれのストーリーやキャラクターの心情を描写するかのような巧みな選曲の数々。

本作制作中にミュージッククリップ『娘クリ』のリリースを挟んだため、2010年中の上映には至らなかったものの、ヒロインたちのクリスマスソングを聴いてから、年越しでバレンタイン時期に公開で観に行くという流れを経験された方にとっては何よりも嬉しい愛のあるプレゼントになった、かと(笑)

監督である河森氏も「2時間弱の中に詰め込めるだけ歌を詰め込み、それでも作品として成立しうるかが、トライしたところですね」と語っているということからも、いかに音楽としての尺を維持しながら、映画としての作品を作り上げるか、というところに注目していただきたいです。

音響設計は映画用5.1chサラウンド仕様となり、大画面・大音響による「戦場ライブ」のような空間を目指しているとのことです。

3DCGやモーションキャプチャ、実写などの素材を交えたミュージカル風の演出で、ジャパニメーションの3DCG創世記からのアニメファンにとっても嬉しい構成。

TVシリーズ、前作を鑑賞済みで、さらに娘トラなどのCDシリーズを聴いている方にとっては、興奮間違いなし。

「何かを選択する過程を通じて成長していく姿」

最終的に、生命を賭して歌ったシェリルは静かに眠り続け、ランカはアルトの帰還を信じて祈りの歌を捧げます。

このエンディングは、まさのゼロ年代以降に語られる作中キャラクターたちの関係の永続性という位置づけとして観ておいて損はありません。

さらに、作中ではオマージュとして手塚治虫の鉄腕アトムの映像が少しだけ登場。

鉄腕アトムでは、機会が人間の心を持つということを暗示。

本作では、人間の心が機械に移植された未来を暗示。

個人的に、人間が心を持ちながら、機械としての入れ物に移植した場合、何かの意図や思惑によって非常にコントロールされやすいということを感じました。

2人の歌姫による人間の歌という感覚的な表現、バジュラという脳を持たない象徴物。

それぞれが対比的に持ち出されることで、より一層深く多面的に思考する余地を与えてくれます。

とても高い完成度で、楽しめる作品なのでおすすめです。

Posted by いぶすきー at 15:16 劇場版アニメコメント(0)
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【自己紹介】はじめまして、いぶすきー(指宿)といいます。神戸で、WEB関係の会社でディレクター兼カメラマンとして働いています。愛知県、三重県、富山県、京都、神戸と各地を転々としています。

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