2010年09月14日
ソラニン

『ソラニン』 監督:三木孝浩
浅野いにお原作の漫画作品を映画化。
いやー、原作の大ファンなので、とても楽しみでした。
社会人2年目の井上芽衣子は、将来に希望を感じられず、同棲相手の種田の勧めもあってOLを辞め、預金生活に入る。
種田は大学時代のバンド仲間である加藤、山田と定期的に会いながら、アルバイトの合間を縫ってバンド活動を細々と続けていた。
喧嘩し、互いに励ましあいながら、先の見えない生活を続けていく井上と種田。

ある日、種田はふとしたきっかけから再びバンド活動に熱を入れることを決め、加藤、山田に声をかけ、自身の持ち曲である「ソラニン」をレコーディングする。

2005年から2006年まで『週刊ヤングサンデー』にて連載され、単行本は全2巻。
単行本の売り上げは50万部を超えています。
浅野いにおさんの漫画は本当に好きで、初めて読んだ時は衝撃でした。
こんな世界観を描ける漫画家がいたのか!と、モラトリアム真っ盛りの青年にとっては胸をうちました。
2009年春にアスミック・エース制作、三木孝浩監督、宮崎あおいと高良健吾のダブル主演で実写映画化されることが発表され、大きな話題となりました。
おお、IMJエンタテイメント・・・!期待が高まりましたね。
監督にも要注目でした。
監督は早稲田大学卒業後、1998年にソニー・ミュージックに入社。
多数のミュージックビデオを手掛け、2006年に独立。
受賞歴に関しては早稲田インディーズフィルムフェスティバル グランプリ(自主映画『青空』)があり、MTV Video Music Awards Japan 2005 最優秀ビデオ賞(ORANGE RANGE「ロコローション」)があります。
ミュージックビデオを多数手掛けた経験から、音と映像の組み合わせが抜群によかったです。
映像の色彩バランスもよく、音楽のPVを繋ぎあわせたような印象を受けます。
その傍ら、8ミリによって撮られた、いつか流れていたはずの過去の思い出が冒頭から始まり、監督の手腕がうかがえました。
そして、何より注目したいのが音楽とキャスト陣。
まずは音楽から。

作中に歌詞のみ登場する楽曲「ソラニン」は、新たにASIAN KUNG-FU GENERATIONがメロディをつけ、宮崎あおい、高良健吾に提供。
エンディングテーマには、以前ASIAN KUNG-FU GENERATIONが制作した楽曲「ムスタング」のリミックス・バージョン「ムスタング(mix for 芽衣子)」が使用された。

また、劇中音楽はストレイテナーのVo.であるホリエアツシのソロプロジェクト「ent」が担当した。
音楽がとにかくかっこいい!というのが鑑賞後の感想ですね。
すいません、加えて、スタイリストの梶雄太氏のコーディネートもよかった。
特に、主演の芽衣子と種田の心境の変化や独特のユルさは、原作漫画と実写との間に生じた差異を、ファッションという記号で巧く補えていたのでないかと思います。
マニアックな話になるかもしれませんが、しばらくの間、2人がゆるく過ごす日常は、時間の変化の中で最も難しい点ではなかったのではないかと思います。
特に、大学時代と現在(卒業後2年後)との時間の変化は、ファッションという表層的な部分が一番わかりやすい。
種田が大学時代初期に、ニルヴァーナのTシャツを着ている辺りが、軽音部入りたてのイメージにぴったりだった。
あと、鮎川のコーディネートは最高。あのミリタリージャケットに縞々のタイツ、音楽系の香りが漂っていました(笑)
そして、やはり漫画原作の実写化において、おそらく最大公約数的に重要なポイントはキャストではないでしょうか。

単刀直入にいえば、よかったのではないでしょうか。
と、言いつつ、つらつらと感想を書いていきます。
もうこれは、半分好みの問題かと思います(笑)
キャスト
井上芽衣子:宮崎あおい
種田成男:高良健吾
主演2人に関しては、ベストだったのではないでしょうか。
宮崎あおいがギター経験がなかったことが、功を奏してよかった。
それでも、芽衣子のダメ女ぶりというか、その辺りが微妙に合わなかった。
宮崎あおいはどう見てもいい子ちゃんで、美人でかわいすぎる(笑)
あの原作から漂う、ダメ女の中にある、美人じゃないけどかわいい感じが・・・。
かわいい子をかわいく見せないことは、なかなか難しいのではないかと感じました。
セリフがちょっと無茶すぎるので、どうしても言わされている感が否めない!
というのが、原作尊重派の意見になるような気がします(笑)
山田二郎(ビリー):桐谷健太
加藤賢一:近藤洋一(サンボマスター)
脇を固める2人は好演でした。
桐谷健太はもう少し痩せて、不健康だったらよかったかもしれないですね(笑)
近藤洋一がハマりすぎてよかったです。
小谷アイ:伊藤歩
アイちゃんの伊藤歩は鳥肌モノ。やっぱり天才なんだなぁと、岩井作品から思い続けています。
原作のキャラクターをそのまま写し出したかのような演技・・・。
冴木隆太郎:ARATA
なぜARATA?と思った方も多いはず。原作の冴木は色黒なのに(笑)
ストーリーを忠実に描ききったがゆえの弊害かもしれません。
脇役の再現度が微妙なのは、演出なのかどうでしょうか。
大橋:永山絢斗
これはちょっと厳しいですね。原作の大橋はもっと冴えないピュアな青年。
イケメンすぎる(笑)
鮎川律子:岩田さゆり
これまた、鮎川が美人すぎる(笑)
大学デビューぶりを落とし込まなかったのは尺の問題なのでしょうか。
個人的にこのエピソードも描いて欲しかったのは欲張りでしょうかね。
芽衣子の母:美保純
種田の父:財津和夫
母、ええ!美人(笑)
と思った方もいるはず。
父親は好演でしたね。
明太子を食べるシーンがなかったのと、持って帰る荷物少な!
と突っ込みを入れた方はいるのやら・・・
なんだ、今日はマニアックで口うるさい感じですか?
好きなので許して下さい(笑)
原作の実写化が難しい中、よく描き切ったなぁと思いました。
映画のヒットを機に、浅野いにお作品がたくさんの方に読まれることも願っています。
この記事へのコメント
こんにちは!あしあとから来ました。
映画とかアニメはほとんど見ていませんので、
色々詳しく書いておられるブログが勉強になりますっ!
またちょくちょく拝見いたします。
映画とかアニメはほとんど見ていませんので、
色々詳しく書いておられるブログが勉強になりますっ!
またちょくちょく拝見いたします。
Posted by リングロときどきGREENDAYS
at 2010年09月14日 17:20

>リングロさん
コメントいただきありがとうございます^^
勉強になるなんてそんな;ありがとうございます。
いつでもいらしてくださいね!
こちらもまた覗かせていただきますね。
コメントいただきありがとうございます^^
勉強になるなんてそんな;ありがとうございます。
いつでもいらしてくださいね!
こちらもまた覗かせていただきますね。
Posted by いぶすきー
at 2010年09月15日 12:42

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