2010年12月09日
イヴの時間 劇場版
未来、たぶん日本―――。

「イヴの時間」 劇場版 監督:吉浦康裕
ロボットが実用されて久しく、 アンドロイド(人間型ロボット)が実用化されて間もない時代。
新時代のアニメーションとして一見の価値のある作品。

ロボット倫理委員会の影響で、人々はアンドロイドを“家電”として扱う事が社会常識となっていた時代。
頭上にあるリング以外は人間と全く変わらない外見により、必要以上にアンドロイドに入れ込む若者が現れた。
彼らは“ドリ系”(※Android Holic=アンドロイド精神依存症)と呼ばれ、社会問題とされるほどである。
高校生のリクオも幼少の頃からの教育によってアンドロイドを人間視することなく、便利な道具として利用していた。
ある時、リクオは自家用アンドロイドのサミィの行動記録に「** Are you enjoying the time of EVE? **」という不審な文字列が含まれている事に気付く。

行動記録を頼りに親友のマサキとともにたどり着いた先は、「当店内では、人間とロボットの区別をしません」というルールを掲げる喫茶店「イヴの時間」だった・・・
個人的には観てよかったーというのが率直な感想。
欲をいえば、もう少しストーリーが動的な方が好きではある。
賛否両論、といいたいところだが、どちらかというと賛の割合が多いという予想。
新海誠作品、細田守作品、神山健治作品辺りを追いかけている層におすすめしたい。
まず、スタートは2008年8月~2009年9月 Yahoo! (GyaO!)動画、ニコニコ動画での配信。
約2カ月間隔で全6話をが配信されたオリジナル版は、口コミで話題を呼び、累計視聴数は300万回を超え、アニメファンの話題に。アマゾンで販売したシリーズも見事に完売。
その後、東京国際アニメフェア2010・第9回東京アニメアワード優秀賞OVA部門受賞作品。
「サマーウォーズ」、「東のエデン」と並び、「イヴの時間」が東京アニメアワード優秀賞を受賞。
一気に新世紀のアニメーション界へのスターダムへと上り詰めた。
それを支えるのは、アニメーション制作の裏側と、作品の世界観ではないだろうか。
制作については以下のリンクより詳しくみていただける。
「イヴの時間」プロデューサーが語る、新時代のアニメ産業論
http://ascii.jp/elem/000/000/509/509054/
新時代のクリエイターの輩出には、それを支えるスタッフたちがいることを強調しておきたい。
特に、制作資金を自社で集め、コアなファンを獲得した後に、劇場版公開へと踏み切ったプロセスは興味深い。
続いて、作品の世界観。
いあわゆる、ロボットアニメものという位置づけになるとは思うが、機械との向き合い方という命題に、真正面から挑んでいる。
ここで特筆したいのは、機械と人間の関係性において、ステレオタイプな否定派の理論を巧みに描き、現代の情報操作が蔓延するマスメディアのジャーナリズムに対して、批評的視点を与えてくれるところだ。
やや難しい表現になったが、詳しくはアニメ!アニメ!によるインタビューを参考にしていただきたい。
アニメ!アニメ!『イヴの時間 劇場版』吉浦康裕監督インタビュー
http://www.animeanime.jp/interview/eve1.html
例えば、非実在青少年規制や近年のTV番組での批判的なオタク特集(バン○シャなど)にあるような、マスメディアの情報操作によって、非常に偏った理論がまかり通ってしまっているように思える。まさに、監督のいう押しつけである。
しかし、ここで結論を急いでしまうが、私が強調したいのは、単にマスメディア=悪者という逆説的な否定派を支持しているわけでもない。
ロボットと人間の間に、感情が生まれるというのは、それぞれ何らかの事情があり、その事実にいいも悪いもない。
ただ、そこには何らかの理由や背景が存在し、その先にあるものに、想像力をかき立ててくれるということだ。
これらのメッセージを、作中のキャラたちの巧みなボケ&つっこみなど、エンターテイメントとして見事に表現できているという点が素晴らしい。個人的にはおすすめしたい作品である。次回作があるならぜひとも観に行きたい。
●スタッフ
原作・脚本・監督:吉浦康裕(「水のコトバ」「ペイル・コクーン」)
キャラクターデザイン・作画監督:茶山隆介
音楽:岡田徹
アニメーション制作:スタジオ六花
制作:ディレクションズ
リクオ:福山潤
マサキ:野島健児
サミィ:田中理恵
ナギ:佐藤利奈
アキコ:ゆかな
コージ:中尾みち雄
リナ:伊藤美紀
チエ:沢城みゆき
シメイ:清川元夢
セトロ:杉田智和
芦森博士:山口由里子
ナオコ:水谷優子

「イヴの時間」 劇場版 監督:吉浦康裕
ロボットが実用されて久しく、 アンドロイド(人間型ロボット)が実用化されて間もない時代。
新時代のアニメーションとして一見の価値のある作品。

ロボット倫理委員会の影響で、人々はアンドロイドを“家電”として扱う事が社会常識となっていた時代。
頭上にあるリング以外は人間と全く変わらない外見により、必要以上にアンドロイドに入れ込む若者が現れた。
彼らは“ドリ系”(※Android Holic=アンドロイド精神依存症)と呼ばれ、社会問題とされるほどである。
高校生のリクオも幼少の頃からの教育によってアンドロイドを人間視することなく、便利な道具として利用していた。
ある時、リクオは自家用アンドロイドのサミィの行動記録に「** Are you enjoying the time of EVE? **」という不審な文字列が含まれている事に気付く。

行動記録を頼りに親友のマサキとともにたどり着いた先は、「当店内では、人間とロボットの区別をしません」というルールを掲げる喫茶店「イヴの時間」だった・・・
個人的には観てよかったーというのが率直な感想。
欲をいえば、もう少しストーリーが動的な方が好きではある。
賛否両論、といいたいところだが、どちらかというと賛の割合が多いという予想。
新海誠作品、細田守作品、神山健治作品辺りを追いかけている層におすすめしたい。
まず、スタートは2008年8月~2009年9月 Yahoo! (GyaO!)動画、ニコニコ動画での配信。
約2カ月間隔で全6話をが配信されたオリジナル版は、口コミで話題を呼び、累計視聴数は300万回を超え、アニメファンの話題に。アマゾンで販売したシリーズも見事に完売。
その後、東京国際アニメフェア2010・第9回東京アニメアワード優秀賞OVA部門受賞作品。
「サマーウォーズ」、「東のエデン」と並び、「イヴの時間」が東京アニメアワード優秀賞を受賞。
一気に新世紀のアニメーション界へのスターダムへと上り詰めた。
それを支えるのは、アニメーション制作の裏側と、作品の世界観ではないだろうか。
制作については以下のリンクより詳しくみていただける。
「イヴの時間」プロデューサーが語る、新時代のアニメ産業論
http://ascii.jp/elem/000/000/509/509054/
新時代のクリエイターの輩出には、それを支えるスタッフたちがいることを強調しておきたい。
特に、制作資金を自社で集め、コアなファンを獲得した後に、劇場版公開へと踏み切ったプロセスは興味深い。
続いて、作品の世界観。
いあわゆる、ロボットアニメものという位置づけになるとは思うが、機械との向き合い方という命題に、真正面から挑んでいる。
ここで特筆したいのは、機械と人間の関係性において、ステレオタイプな否定派の理論を巧みに描き、現代の情報操作が蔓延するマスメディアのジャーナリズムに対して、批評的視点を与えてくれるところだ。
やや難しい表現になったが、詳しくはアニメ!アニメ!によるインタビューを参考にしていただきたい。
AA ロボットについていえば、作品の中でナギさんたちは、アンドロイドも人間らしくあるように考えているのかと思えましたが。
吉浦 必ずしも「人間らしく」というわけでないんですが…。あの社会は、ロボットを少しでも擬人化してしまうのは恥ずかしいことだという極端な価値観が蔓延している世界です。ロボットはステレオタイプなロボットらしくあらねばならない、ということですね。
でもロボットは別に人間になりたいわけでも人間の権利を奪おうとしているわけでもなくて、ただ人間のために尽くしたいだけなんです。人間と同一視する必要はない、ただ違う存在として当たり前に認める、このスタンスが最も自然だと思います。
AA あれを見ながらあまりロボットと人間が仲良くし過ぎると、ロボットは結局年を取らないし、やはりそこで混乱が起きるんじゃないかと思いました。倫理委員会には正しい側面もあるかなと感じました。
吉浦 もちろん、倫理委員会については、「これはこれで一理あるよな」と常に書いていました。ただ主張内容はどうあれ、倫理委会はロボットと過度に接するのはかっこ悪いという風潮をあおって、あのような状況を情報操作で作り出している一面があります。そのやり方は不健全だと思いますね。
AA ロボットに入れ込んでいるドリ系と言われている人と、現代のオタクというのは重なるものなのかなとも思いました。
吉浦 それは少し意識しました。でも「ロボットに人間らしさを見出す」というのは、それだけで多種多様な状況があるはずなんですよね。
例えば着せ替え人形にして、かわいい服を着せて一緒に腕を組んで歩く人もいれば、一方で独居老人が話す相手がいなくて、それで心の支えにする場合もあるんです。けれども、ドリ系という言葉は、そういった様々な状況をひとくくりにまとめちゃう言葉なんだと思います。画一的なネガティブイメージを押し付けて。
アニメ!アニメ!『イヴの時間 劇場版』吉浦康裕監督インタビュー
http://www.animeanime.jp/interview/eve1.html
例えば、非実在青少年規制や近年のTV番組での批判的なオタク特集(バン○シャなど)にあるような、マスメディアの情報操作によって、非常に偏った理論がまかり通ってしまっているように思える。まさに、監督のいう押しつけである。
しかし、ここで結論を急いでしまうが、私が強調したいのは、単にマスメディア=悪者という逆説的な否定派を支持しているわけでもない。
ロボットと人間の間に、感情が生まれるというのは、それぞれ何らかの事情があり、その事実にいいも悪いもない。
ただ、そこには何らかの理由や背景が存在し、その先にあるものに、想像力をかき立ててくれるということだ。
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●スタッフ
原作・脚本・監督:吉浦康裕(「水のコトバ」「ペイル・コクーン」)
キャラクターデザイン・作画監督:茶山隆介
音楽:岡田徹
アニメーション制作:スタジオ六花
制作:ディレクションズ
リクオ:福山潤
マサキ:野島健児
サミィ:田中理恵
ナギ:佐藤利奈
アキコ:ゆかな
コージ:中尾みち雄
リナ:伊藤美紀
チエ:沢城みゆき
シメイ:清川元夢
セトロ:杉田智和
芦森博士:山口由里子
ナオコ:水谷優子
この記事へのコメント
藤井~ 美娜
当店をご光臨賜ることを歓迎します
当店のブランドの包み、腕時計など、,,
品質の第1。
信用の第1。
みんなを歓迎して予約購入します。
当店をご光臨賜ることを歓迎します
当店のブランドの包み、腕時計など、,,
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信用の第1。
みんなを歓迎して予約購入します。
Posted by 藤井~ 美娜 at 2010年12月09日 15:31
これは良作!
Posted by やさい at 2010年12月09日 22:42
>やさいさん
コメントいただき、ありがとうございます。
良作ですよね~
コメントいただき、ありがとうございます。
良作ですよね~
Posted by いぶすきー
at 2010年12月13日 00:55

いぶくんの名前が出てたような…(笑)
アンドロイドって、なんか懐かしい(^_^)v
題名『いぶの時間』に変更してくれたら、みたいと思います♪
アンドロイドって、なんか懐かしい(^_^)v
題名『いぶの時間』に変更してくれたら、みたいと思います♪
Posted by 菜々食CookingClass
at 2011年01月14日 19:04

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