2010年06月27日
アキレスと亀
スキ、だけど。
スキ、だから。

「アキレスと亀」 監督:北野武
”好きなことを追い続ける大切さ””支えてくれる人の存在”を描いた、愛と幸福の物語。
14作目の長編映画となり、「TAKESHIS'」、「監督・ばんざい!」に続く、芸術家としての自己を投影した三部作の最後の作品といわれています。

裕福な家に生まれた少年の真知寿(まちす)は“画家になる”夢を持っていた。

しかし突然両親が亡くなり、環境が一変してしまう。
ひとりぼっちになった真知寿は、画家になることだけを人生の指針として生きるしかなくなった。

そんな愛に見放された真知寿の前に、ひとりの理解者が現れる。
絵を描くことしか知らない彼の純朴さに心惹かれた幸子である。
やがてふたりは結ばれ、真知寿の夢は夫婦の夢となった。

愛と希望に満たされ、様々なアートに挑戦するふたり。
しかし作品は全く評価されない。

ふたりの創作活動は、街や警察をも巻き込むほどにエスカレートしていき、家庭崩壊の危機にまで直面してしまう・・・・・・。

うまくいかなくても前に進むしかない人生の中で、ふたりが確かに手にしたものは・・・。
いやーおもしろかったです!
これはおそらくアーティストや芸術関係の道を志した経験がある方にとっては
まさに核弾頭というか、強烈なボディブローを食らう作品ではないでしょうか?
自分が信じているいいとARTや音楽、ファッションなど、それが社会から評価されない葛藤
というのは一度は抱いたことがあると思います。
その中で、今回は芸術がテーマになっているわけですが
そもそも、ARTって何だ?という話になれば
本作品での扱いは”アキレスと亀”、つまり、アキレスが自分で、亀がARTとなるのでしょうか。
(※注:参照 アキレスと亀とは?)
自分自身がいくら全力疾走でARTに向けて走り出したとしても
時間が経てば、その分だけARTも先に進んでいる。
決して、追いつくことができないという暗示のように思えました。
設定上よかったのは、元々が裕福だったこと。
裕福な場合、正直芸術は趣味の嗜み程度で、生活に影響しない。
いやむしろ、お金持ちで絵が上手なんていったらいいにこしたことはない。
ところが、一転、貧乏な家庭の場合どうでしょう?
芸術家は、金持ちの道楽程度がいいのでしょうか?
なんてことを考えてしまいます。

「TAKESHIS'」、「監督・ばんざい!」に続いての本作ですが、前作に比べて格段と
わかりやすい作風に仕上がっています。
おそらく、2作でのわかりずらさによる不評が原因でしょうが
今回はいやらしいぐらいにわかりやすい(笑)
初っ端からアニメーションを用い、まるで小学生に教えるかのごとく親切丁寧。
ここまできたらもはやギャグでしょ!という監督のユーモアを感じます。
ストーリーの終盤で、空き缶を蹴散らすシーンが最高でした。
もうなんか、概念を蹴ってしまうのも、ひとつの回答なのかもしれません。

※アキレスと亀とは?
紀元前490年頃~ 紀元前430年頃に生きた古代ギリシアの自然哲学者ゼノンの考えたパラドックス。
あるところにアキレスと亀がいて、二人は徒競走をすることとなった。しかしアキレスの方が足が速いのは明らかなので亀がハンデをもらって、いくらか進んだ地点(地点 A とする)からスタートすることとなった。
スタート後、アキレスが地点 A に達した時には亀はアキレスがそこに達するまでの時間分先に進んでいる(地点 B)。
アキレスが今度は地点 B に達したときには亀はまたその時間分先へ進む(地点 C)。
同様にアキレスが地点 C の時には亀はさらにその先にいることになる。
この考えはいくらでも続けることができ、結果、いつまでたってもアキレスは亀に追いつけないことになる。
↑参考までに
Posted by いぶすきー at 21:20
映画
この記事へのコメント
北野映画の、日本と海外の温度差って凄いよね
Posted by 太一 at 2010年06月28日 00:00
確かに。
逆輸入型で評価されるケースがありますもんね。
日本のいいものをもっと探求して、伝えていきたいです。
逆輸入型で評価されるケースがありますもんね。
日本のいいものをもっと探求して、伝えていきたいです。
Posted by いぶすきー
at 2010年06月28日 00:18

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