2010年09月17日
シナリオ人生

ドラマは人生だ。

「シナリオ人生」 著者:新藤 兼人
1912年広島生まれ。1950年近代映画協会創立。映画監督・シナリオ作家。代表作は「裸の島」(モスクワ映画祭グランプリ受賞作品)、「原爆の子」「第五福竜丸」「午後の遺言状」「ふくろう」他、多数。日本のインディペンデント映画の先駆者であり、95歳の現在も現役監督・シナリオ作家として活躍中。70年に及ぶ制作活動において手がけた監督作品は47本、シナリオは240本以上。48本目の監督作品となる『花は散れども』の撮影準備が進行中。
長田の図書館でたまたま目にとまって読んでみました。
正直、20代の僕にとっては著者の作品を観る機会がありませんでした。
大河の一滴の脚本もされていたようなので、知っているとすればその辺りでしょうか。
それでも、長年映画の監督・脚本に携わってきて、92歳にして振り返る人生エッセイとしての読み応えは十分でした。
はじめのうちは、なんだか取っ付きにくい印象を受けるのですが、若い頃の苦労話は、今となってはかなり新鮮な内容でもあります。
貧乏と戦争と、さまざまな不幸に加え絶えざる研鑽ののちに、シナリオの極意に気づきます。
それは、どちらも発端、葛藤、終結の三段階で構成されます。
あらゆる名作を観ながら、見出したひとつの方法論。
当たり前といってはそれまですが、このような方法論は、長年の努力と経験の積み重ねによって見出され、当人の骨となり肉となり、血が宿るように感じました。
現像場の便所の落し紙に印刷された脚本を熟読し、小津安二郎、溝口健二、内田吐夢らの映画つくりから直接学んだドラマと人生の核心。
2010年現在、日本最高齢の現役映画監督であり、世界でもマノエル・デ・オリヴェイラに次ぐ位置にあります。
そんな新藤監督へのインタビュー記事があるのですが、それが非常に興味深い、というより、これは現代を生きる私たちは一読の価値はあると思ったので加えて紹介します。
僕は、いわゆる「戦争反対」と言っている人たちとは、少し次元が違うんです。32歳で召集され、戦争の中身を体験して帰ってきているわけですから。
僕が、戦争になぜ反対かと言うと、それは“個”を破壊し、“家庭”を破壊するからです。
・・・中略
要するに、一人の人間の権利なんて考えていません。しかし、実際に戦争を戦うのは、みんな個人なんだ。そして、ひとり一人の個には家族がある。
・・・中略
人間はどうやって死ぬかということは、人間の持っているひとつのテーマでしょう? 誰もが考えてますよ。できるだけ長生きしたいとか、ぽっくり死にたいとか、平和にやすらかに死にたいとか、家族や子供たちみんなに見守られて死にたいとか。そういうのは人間の大きなテーマなんですね。
それが、戦争によって取り上げられちゃう。人の一生の大切なテーマが、メチャクチャにされてしまうということです。
http://www.magazine9.jp/interv/shindo/shindo.php
070808 マガジン9~この人に聞きたい より
思うに、現場の体験者だからこそ作れるもの、それこそまさに新藤監督にとっての使命なのかもしれません。
信念を持ちながら、何かを創るという姿勢に大いに刺激を受けました。
過去の作品も見返していきたいと思います。
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